走って、もがいて、間違えて、
今を生きる私たちへ
『横道世之介』の沖田修一監督や『あのこは貴族』の岨手由貴子監督ら、数々の才能を輩出する田辺・弁慶映画祭にて異例の弁慶グランプリと映画.com賞をダブル受賞した期待作。 本作は”女性のキャリアと出産”という話では、ない。ひとりの30代の人間が、忙しさや意地の張り合いから、仕事でもプライベートでも失敗しながら成長する姿を描く。キャストでは、監督の処女作から共にする藤原麻希に加え、お笑いトリオ・ななめ 45°の岡安章介が、誰にも言えない秘密を抱えた恋人役を好演。「生きづらさ」を感じている人々を描き続けてきた新鋭・野本梢監督が、自身のリアルな体験を元に描いた渾身の一作である。 一度炎上したら「厄介者」のレッテルを貼られてしまう今、見るべき話題作。
テレビ局で働く玉井景(藤原麻希)は、芸人を辞めてスーパーで働く彼氏のヨシ(岡安章介)と同棲している。体調不良で仕事をすぐ休み 、結婚に対してはっきりしない。そんな頼りないヨシを置いて景はついにある嘘を隠したまま家を出る。 ヨシからの着信が鳴り止まない中、番組制作に意気込む景だったが、出演をオファーしたトランスジェンダーの金井(村上由規乃)を取り巻くトラブル、嫉妬、意地の張り合い…。多忙を極める中で次第に周囲と歯車が狂い始めた景は、ヨシにすがろうとするも、電話に出ないヨシ。 家に押しかけると、見知らぬ女が。そしてヨシからある事実を告げられる--
玉井景 藤原麻希
萩原慶 岡安章介
金井栞 村上由規乃
スミス椿 橋本紗也加
金城信吾 長尾卓磨
紗希子 手島実優
古山杏奈 根矢涼香
田中太一 櫻井保幸
桜山ゆり 綱島えりか
山岡卓司 鈴木達也
宝塚治 山下ケイジ
竹井町子 高木悠衣
崇 岡田和也
俊 後藤龍馬
鳥谷 松木大輔
亜実 桑名悠
坂本和幸 樋口大悟
笠松七海
監督 野本梢
主題歌 工藤ちゃん
都道府県 | 劇場名 | 公開日 | 備考 |
---|---|---|---|
東京 | テアトル新宿 | 8/27(金)〜 | 上映終了 |
東京 | 池袋シネマ・ロサ | 10/30(土)〜 | 上映終了 |
神奈川 | シネマ・ジャック&ベティ | 未定(土)〜 | |
茨城 | あまや座 | 11/27(土)〜 | 上映終了 |
愛知 | 名古屋シネマスコーレ | 1/15(土)~1/28(金) | |
大阪 | シアターセブン | 12/4(土)〜 | 上映終了 |
大阪 | シネ・リーブル梅田 | 9/24(金)〜 | 上映終了 |
京都 | 京都みなみ会館 | 1/29(土)〜2/11(金) | |
兵庫 | 元町映画館 | 1/29(土)〜2/4(金) |
©2020『愛のくだらない』製作チーム
コメント
comment
“キラキラ”を少しずつ欠きながら、もがく大人の青春。
髪の匂い、ぬくもり、共有する冷たさや温かさ…
ふれあいと距離感の隙間で、毎日何かが漏れていく。
独善的な疾走と反省の反復…
他者の生き苦しさに気付いて、自分のくだらなさにまた息苦しくなる。
等身大でリアルな描写に
野本監督特有の鋭く奇妙な視点と思考が交じり合う。
– 清水崇(映画監督)
人間も、生きるのも、しんどい。
毎日はそれだけでいっぱいいっぱいだ。
たぶん誰もが誰かを傷つけている。
その中で忘れかけてゆく、優しさや思いやりを、野本監督は諦めない。
静かに、けれど全力で語りかける93分。
視点はとても厳しい。
他人にも自分自身にも、誰にでも平等に。
その分、こぼれ出る優しさはとびきりだ。
人間も、生きるのも、しんどい。
けど、それでも、悪くない。
見終わったあと、そう思えた。
– 佐久間宣行(テレビプロデューサー)
あの時こうしていれば今…と過去を後悔することはある。
ただ実は「選択」とも言えない、日々の気分や馴れ合いによる何気ない自分の行動が今を作っていたりする。
それらは後で振り返ろうとしてもどう振り返ったらいいかわからないほど日常に溶け込んでいて…。
皆さんは主人公の中にいる自分を見て何を思うのでしょうか。
– 相席スタート・山﨑ケイ(芸人)
颯爽たるキャリアウーマンをよそおっても、しょせん男も仕事も人間関係も綱渡り。人生で最も不安定な季節を迎えたヒロインのふくれっつらは、可愛げはなくてもいじらしくて目が離せない。独自の推進力を発揮する女優、藤原麻希とタッグを組んだ野本梢監督がすぐれた観察力で導く、未来についての勇気の物語。
– 内海陽子(映画評論家)
この映画は意図的に共感させないことで、表層的なイメージの向こう側にある本質を観客に推し量らせようと試みている。誰もが持つ、表情や言葉とは裏腹な本音を視覚化させているのだ。それは、現代社会に不可欠な“寛容”と“融和”は相手を慮ることでしか生まれない、という野本監督による決意表明なのである。
– 松崎健夫(映画評論家)
愛とは一体なんなのか?すべてを受け入れられるのが愛なのか?
女だから、男だから、達成しなければいけないライフプランとはなんなのか?
ジェンダーを外して世界を見れば社会の偏見や差別が見えてくる。いろんな愛から嘘は生まれ、人を惑わし人を困らせる。これはアナタや私に捧げる究極のラブストーリーだ。
– 伊藤さとり(映画パーソナリティ)
彼女は泣かない。
大人だから?仕方がないから?
私と彼女は全然似ていないのに、何故か彼女の中に私がいた気がした。
そうか、私もくだらない愛を求めていたんだ。
彼女の心が溢れた時、笑顔でいてほしいと思った。
– 木本夕貴(俳優)
30代の仕事に生きてる女性の皆さん、グッサグサ刺さることでしょう。
世間からの重圧に焦り、余裕がなくなり視野が狭くなる、過去の想い出と自分に心をギュッと掴まれ苦しくなる、だからといって今更誰かに助けを求めることもできずプライドが邪魔をする、、、
そんな時こそ一度深呼吸をして周りに愛を持って接したい。
こんなにリアルな心を描ける野本監督の繊細な映像に感銘を受けました。
まずは観て欲しい。
– 緑川静香(俳優/モデル)
好きな事で輝く自分じゃなきゃ愛せない。
それが私らしさと信じ、支えてくれる人の優しさに不感症になる程奔走し、甘え、自律してると勘違い…身につまされました笑
あの珈琲のシーン…ヨシの顔が見れただけで堪らなく愛おしく号泣
日頃許してくれてる人を大事にしてるか私?
と改めて、立ち止まり、気づかせてもらいました。
– 桜木梨奈(俳優)
私たちはみな、「母なる海」から生まれた。けれど、くだらない日常に振り回されるうち、水の感触もすっかり忘れ、突然足に触れたとき主人公・景のように「冷たっ」となる。
夢と現実、すれ違う男女、モラハラ、セクシャルマイノリティ……バラバラに繰り出されるアイコンに、一体どこに連れていかれるの?とハラハラしていたら、ラストシーンの言葉で全て理屈抜きにストンと腹に落ちるような、マジカルで底知れぬ深さを感じる映画。
– 天野千尋(映画監督)